ステルスマーケティング(ステマ)とは?|事例や対策も

ステルスマーケティング(ステマ)は、一見広告とわからない形で商品やサービスを宣伝する手法を指します。
ステルスマーケティングは、信頼性を装うことで消費者の購買意欲を高めることを目的としますが、企業イメージの悪化や法律問題を引き起こすリスクも伴います。
本コラムでは、ステマの定義や具体的な手法、実際の事例を紹介するとともに、問題点やリスクについて詳しく解説します。
また、加害者にならないための注意点も併せて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ステルスマーケティング(ステマ)とは
ステルスマーケティング、略して「ステマ」とは、広告であることを消費者に明示せず、自然な形で商品やサービスを宣伝する手法を指します。
この手法は、広告であることを隠すことで信頼性を高め、購入意欲を刺激する狙いがあります。
しかし、消費者からの信頼を損なうリスクがあるため、各国で規制の対象となっています。
特にSNSやレビューサイトなど、日常的に利用されるプラットフォームで多用される傾向があり、近年ステマによる影響力が注目されています。
ステマの定義
ステルスマーケティングは、学術的にも以下のように定義されています。
“ステルスマーケティングとは、マーケティング・メッセージを制作または後援する
企業との真の関係を開示または明らかにしない、不正なマーケティング手法を
使用することである。(Martin and Smith, 2008)”
引用:ステルスマーケティングを取り巻く 経営学・商業学分野の学術研究の現状
また、消費者庁はステマによる宣伝行為を「不当表示」として取り締まる姿勢を示しています。2023年10月に施行された「令和5年3月28日内閣府告示第19号」(ステマ告示)での定義は、以下の通りです。
“一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示”
引用: 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示|消費者庁
ステマの問題点
ステルスマーケティングには、消費者を欺く可能性がある点に大きな問題があります。
広告であることが明示されないと、消費者は個人的な感想や独立した意見だと信じてしまいがちです。
結果として、不正確な情報に基づいて購買判断をしてしまうリスクが高まります。
さらに、企業がステマを利用した結果、消費者からの信頼を失うケースも多く、ブランドイメージの低下につながりかねません。
くわえて、規制当局から罰金や制裁を受ける可能性もあるため、倫理的にも法律的にも慎重な対応が求められます。
ステマの手法
ステルスマーケティングには多種多様な手法がありますが、以下のようなものが一般的です。
- レビュー操作:商品やサービスに関するレビューを広告主が直接投稿することや、投稿者に報酬を支払って好意的なレビューを書かせるなどの方法
- インフルエンサーの活用:SNSで影響力のある人物が広告と明示せずに、商品を紹介して信頼性を高める手法
- ネイティブ広告:記事形式の広告をニュースサイトやブログで展開し、読者が広告であると気づきにくい形で情報を提供する方法
いずれも一見すると自然であり、宣伝とは感じさせません。広告ということに気づけず、消費者が誤解する原因になり得ます。
ステルスマーケティングの事例
具体的なステルスマーケティングの事例を3つ紹介します。
インフルエンサーによるSNSへの投稿
インフルエンサーが、自身の日常生活を紹介する投稿のなかで、ある商品を使用していました。
投稿には広告表記がなかったため、インフルエンサーが商品をプライベートで愛用していると、フォロワーに思い込ませる可能性が高い投稿でした。
しかし、投稿が企業との契約に基づくものであることが後日発覚。
インフルエンサーや企業への批判が殺到しました。
このようなケースでは、インフルエンサーと企業の関係性を明示しないことが消費者を混乱させる要因となります。
商品レビューの操作
ある販売サイトでは、高評価レビューが多く投稿されている商品が注目されました。
しかし、これらのレビューの多くが、企業側が依頼したライターやスタッフによる投稿であることが後に判明。
購入者を装ったこれらのレビューにより、消費者は商品の品質を過大評価してしまい、購入後に期待を裏切られる結果となりました。
こういったステルスマーケティングは、レビューの信憑性が揺らぐことで、プラットフォーム全体の信頼性にも影響を与えるリスクがあります。
記事広告の曖昧な表記
あるニュースサイトでは、特定のサービスに関する記事が配信されました。
記事内容はそのサービスを高く評価する内容で、一見すると編集部が独自に取材・作成したように見えました。
しかし、記事の末尾に小さく広告表記がされていただけであり、多くの読者が広告であることに気づかないまま受け取ってしまいました。
「広告」と記載があっても、認知されなければ消費者に誤解を与えかねません。
ステルスマーケティングのリスク
ステルスマーケティングには多くのリスクが潜んでおり、企業の信頼や経済的な損失に直結する可能性があります。
ここでは、ステマのリスクについて解説します。
企業や業界の信用を失う
ステルスマーケティングが発覚すると、企業や業界全体の信用を損なうリスクがあります。
消費者は、広告であることを隠して情報を操作する行為に対して不信感を抱き、商品やサービスの品質自体に疑問を持つようになるでしょう。
このような事態が続くと、企業のブランドイメージが損なわれるだけでなく、業界全体の信頼性が低下し、競合他社にも悪影響を及ぼしかねません。
一度失った信頼を回復するのは容易ではなく、長期的な経営の課題となるでしょう。
罰則を科せられる可能性がある
消費者は2023年10月1日から、ステルスマーケティング(ステマ)を景品表示法違反として位置付け、規制を強化中です。
違反した場合は、景品表示法7条に基づいて、消費者庁の措置命令を受けます。
措置命令に従わない場合、景品表示法46条に則り「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」が課されます。
また、改正景品表示法が2024年10月に施行され、「優良誤認表示・有利誤認表示に関する直罰規定(第48条)」が追加されました。
上記に該当する場合は、対象企業に100万円以下の罰金が科される可能性があります。
炎上による損害を被る
ステルスマーケティングが発覚すると、SNSやメディアを通じて大きな批判を受ける可能性があります。
「炎上」により、企業は信頼を失うだけでなく、対応に多くのリソースを割かなければならなくなるでしょう。
炎上が拡大すれば、商品やサービスの売上が大幅に減少するほか、株価の下落やパートナー企業の離脱といった二次的な損害を引き起こす可能性もあります。
特に情報の拡散が速い現代では、迅速かつ適切な対応が求められます。
ステマの加害者とならないために気をつけること
ステルスマーケティングの加害者となることを防ぐには、透明性を重視したマーケティング活動が不可欠です。
企業とインフルエンサーの関係を明示し、消費者に誤解を与えないよう対策をしてください。
消費者庁が公表している運用基準を理解し、SNSやインフルエンサーマーケティングの適切な運用を行うことが大切です。
以下では、ステマ防止に役立つ具体的なポイントを5つご紹介します。
企業とインフルエンサーの関係を記載する
企業がインフルエンサーに報酬や商品提供を行った場合、両者の関係を明確に記載する必要があります。
例えば、「企業から提供された商品」や「スポンサー案件」といった記述を投稿内に含め、消費者が広告と認識できるようにしましょう。
透明性の確保により、消費者の信頼を守るだけでなく、法律違反のリスクを回避することができます。
ハッシュタグを活用しPR案件と明記する
投稿内容が広告である場合、投稿文中やハッシュタグに「#PR」「#広告」といったキーワードをインフルエンサーに含めてもらいましょう。
これにより、消費者に対してより明確に広告と示せます。
特にSNSでは、視覚的に簡単に認識できる形で表記することが重要であり、投稿の信頼性を高める役割も果たします。
SNS毎に用意されているPR案件と分かるタグを使用する
SNSごとに、PR案件であることを明確に示すための機能が用意されています。
例えば、Instagramでは企業の承認を経て「タイアップタグ」を投稿に加えることが可能。
また、YouTubeでは「有料プロモーションの設定」をすると、動画の冒頭に「プロモーションを含みます」という表示が自動的に追加されます。
上記のように、プラットフォームごとに推奨されている表記方法を守ることで、ステルスマーケティングを回避できます。
インフルエンサーの投稿をチェックする
インフルエンサーに依頼した投稿内容が適切であるかを事前にチェックすることも重要です。
投稿文に広告であることが明示されているか、誤解を招く表現が含まれていないかなどをチェックし、必要であれば修正を依頼します。
特にSNSでの投稿は拡散力が高いため、企業側が責任を持って管理する姿勢が求められます。
チェックを怠ってしまい、大きな損失となってしまったケースも多くあるため、注意してください。
広告代理店に依頼する
ステルスマーケティングを回避するために、専門の広告代理店に依頼する方法もおすすめです。
代理店は広告表記のルールや最新の規制に精通しており、適切なキャンペーン運用をサポートしてくれます。
しかし、広告代理店であれば、必ずしも安心ということではありません。
広告代理店が起用するインフルエンサーやクリエイターに対して、広告であることの明示を徹底するよう指示できる環境や、投稿内容を事前にチェックできる体制が望ましいです。
つまり、適切なマーケティングを行うなら、実績があり信頼できる代理店を選ぶことが大切です。
おすすめの広告代理店
ステルスマーケティングを防ぎつつ、効果的な広告キャンペーンを展開するには、信頼できる広告代理店を選ぶことが重要です。
ここでは、運用や豊富な実績を持つ広告代理店を3社ご紹介します。
株式会社ナハト
株式会社ナハトは、「Profitable Marketing」をモットーに掲げ、企業の利益に直結するマーケティングを提供しています。
インフルエンサーマーケティングを中心に、SNS広告全般を得意としており、クリエイティブ制作から運用まで一貫して対応可能です。
また、自社でYouTuber事務所「ONEVIEW」を運営しており、大型インフルエンサーとの連携ができる点も強みです。
株式会社クロスリング
株式会社クロスリングは、インフルエンサーマーケティングの先駆者であり、専門的な知見がある会社です。
「Power to the people」をミッションに掲げ、テクノロジーを活用した個人のエンパワーメントを目指しています。
独自開発の次世代インフルエンサーマーケティングツール「SPRAY」や、インフルエンサー登録サイト「Winsta」を運営。
データ解析技術を駆使した効果的なマーケティングが強みです。
株式会社EMOLVA
株式会社EMOLVAは、Instagram、YouTube、X、TikTokなど、幅広いSNSプラットフォームに対応したインフルエンサーマーケティングを展開しています。
SNS全般に関するブランディングやコンサルティングにも強みを持ち、クライアントのニーズに合わせた総合的なソーシャルマーケティングソリューションを提供。
2015年の設立以来、デジタルマーケティング領域で急成長を遂げ、クライアントの事業拡大に貢献しています。
インフルエンサーマーケティングはステマに注意して慎重に行おう
SNSやインフルエンサーマーケティングは、ターゲット層への強力なアプローチ方法ですが、ステルスマーケティング(ステマ)のリスクがあります。
消費者に不信感を与えないためにも、広告であることを明示し、透明性を保つことが重要です。
消費者庁の公表している資料や景品表示法、企業との契約などに基づき、誠実なプロモーションを行うことで、ブランドの信頼を築きつつ効果的なマーケティングを心がけてください。
ただし、自社にノウハウがない場合は無理をせず、広告代理店に依頼することをおすすめします。
炎上や社会的な信用の失墜といった問題を確実に回避し、効果的なマーケティングを行なってくれるでしょう。
おすすめの代理店
ディレクション型
プラットフォーム型
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