グロースハッカーとは?仕事の魅力やおすすめ企業も紹介

グロースハッカーは、WEB業界でも比較的新しい職種です。
企業のサービス・商品などの成長(グロース)を促進させるポジションとなります。

WEB業界への就職や転職を検討している方のなかには、「グロースハッカーの仕事について知りたい」「グロースハッカーになるにはどうすればいいのか」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

今回はグロースハッカーの概要やキャリアパス、活躍できる企業について紹介します。

グロースハッカーとは

「グロースハッカー」が持つ意味をはじめ、役割や仕事内容について解説します。
グロースハッカーになるために必要なスキルについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

Growth×hackerの造語

「グロースハッカー」は、「Growth(成長)」と「hacker(技術的知識を利用して課題を解決する人)」を掛け合わせた造語です。

技術的な知識を活用してWEBマーケティングにおける課題を解決し、企業を成長させる人を指します。

企業を成長させる方法は多岐にわたりますが、新たな手法によって業務の効率化を図り生産性を高め、会社および商品、サービスの成長を促します。

グロースハッカーの役割

グロースハックとは簡単にいうと、主にITを活用して行うマーケティング業務のこと。

WEBマーケティングにさまざまな手法を取り入れることで、企業が抱えるマーケティング上の課題を解決し、成長を加速させる役割を担います。

また、自由度が高いポジションとも言えます。
マーケティング手法だけでなく、予算や期間なども明確に定められていないため、前例のない手法を生み出したり、自らサービス開発に携わったりすることが可能です。

WEBマーケターとの違いは?

WEBマーケティングのひとつとしてグロースハックを捉えられますが、グロースハックとマーケティングは異なります。

職種 目的 手法 プロダクト開発業務との連携
WEBマーケティング 商品・サービスの販売促進 ブランディングを中心に行う 分業して行う
グロースハック 商品・サービスの成長 従来の手法にプラスして、成長する仕組みを活用する 開発業務も担う

主な違いは、成果につなげるためのアプローチです。
グロースハックは予算やリソースを抑えつつ、企業および商品・サービスが成長していくことに重点を置いています。

また、成長に向けたマーケティングでは、従来のマーケティング手法を活かした戦略を取ります。
開発業務と並行して行うのも違いです。

WEBマーケターについては下記をご覧ください。

グロースハッカーの仕事内容

グロースハッカーの仕事内容に明確な定義はありませんが、企業の成長のためには「何でもやる」のがグロースハッカーです。
主な業務内容をまとめると以下のとおりです。

「AARRR(アー)」というフレームワークを用いて表現されます。

Acquisition ユーザーの獲得
Activation サービス・製品の活性化
Retention ユーザーの継続利用
Referral ユーザーによる外部への紹介
Revenue 収益

グロースハッカーは新規ユーザーの獲得だけでなく、リピーターに育て、さらに収益の最大化を目指します。

収益化では、1回では上手くいかないこともあるでしょう。
現状を把握し、別のアプローチを考えることもグロースハッカーが行います。

グロースハッカーに必要な知識・スキル

さまざまな手法を用いて企業や商品・サービスの成長を促進させるのが主な業務であることから、求められる知識やスキルは多岐にわたります。

「これを学べばOK」といった学問もないので、自分に不足しているものや、理想とする働き方をふまえて知識やスキルを取得するとよいでしょう。

一般的にグロースハッカーに必要とされる知識・スキルは以下のとおりです。

  • 統計学
  • マーケティング
  • 分析力
  • 企画力
  • プログラミング など

商品・サービスがユーザーのニーズを把握したうえで、現状としてマッチしているか否かを分析する必要があるので、マーケティングスキルや分析力は重要です。
統計学も習得しておくと、客観的な分析や判断ができるようになるでしょう。

分析してアプローチ方法をある程度形にできても、チームに共有し計画的に進めるには企画力も求められます。

また、グロースハッカーは開発業務も担うことが多いので、プログラミングスキルがあると役立ちます。

グロースハッカーのキャリアパス

グロースハッカーのキャリアパスも、仕事内容と同様明確なものはありません。

しかし、WEBマーケターやWEBエンジニアで経験を積むことでグロースハッカーの業務に役立てられるでしょう。

グロースハッカーになるには

グロースハッカーの仕事内容から、WEBマーケターやWEBエンジニアとして働くことが近道と言えるでしょう。

WEBマーケター

WEBマーケターとは、WEBサイトの集客・売上アップを図るための施策を行う仕事です。
主な業務内容としては、以下が挙げられます。

  • SEO対策
  • WEB広告運用
  • SNS運用
  • LP制作
  • WEBサイトの改善
  • メールマーケティング など

グロースハッカーも、このようなマーケティング施策を通じて改善を行い、成長を促すことから、マーケターとしての経験が役立てられます。

WEBエンジニア

WEBエンジニアは、WEBサイトおよびサービスを構築するのが主な仕事です。
アプリケーションの開発なども行ないます。

具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 要件に関するヒアリング
  • 要件定義
  • 開発(プログラミング)
  • テスト(デバッグ)
  • サイト公開/サービス公開

グロースハッカーは必要に応じて自ら開発業務に携わるので、WEBエンジニアを足がかりとしてキャリアアップすることも可能です。

グロースハッカーとして活躍するには

グロースハッカーとして活躍するには、WEB業界に入ったり、ベンチャー企業のWEB担当になったりすることが第一歩といえます。

ベンチャー企業のWEB担当なら従業員が限られているため、マーケティングやエンジニア職に至るまで幅広く業務を任されます。
柔軟な働き方もできるので、ベンチャー企業はグロースハッカーとして実務を積むのに最適な環境です。

WEB業界に携わり、WEBに関わる業務の全体感を知ることをはじめ、アクセス解析力やSEO、マーケティング力、コンバージョン率改善のアイディアを実行できるだけのスキルを習得することで、グロースハッカーとしての道が開けます。

下記もおすすめの方法です。

  • WEBメディアを運営して収益を生み出す
  • WEB担当者が少ない中小企業でWEBマーケターとして働く など

なお、“企業の継続的な成長“は多くの企業にとって重要な課題。
将来的には、グロースハックに特化して起業することで、さまざまな企業の発展に尽力できます。

グロースハッカーの魅力

グロースハッカーは、自分が主体的に考え行動したい人にとって、働きがいを感じやすい仕事といえます。

  • 自分の裁量で業務が進められる
  • 試行錯誤をすることで改善につなげる
  • ポジションの確立・収入アップが狙いやすい

成長させるという目標に向けて、さまざまなアプローチを試行錯誤していく過程にやりがいを感じる方も少なくありません。

ケースによっては、ゼロから作り上げていく面白さもあります。

自分の裁量で業務が進められる

グロースハッカーの魅力としてよく挙げられるのが、裁量権の大きさ。
自分の判断によって、商品・サービスの改善が図れます。

自分のスキル次第では、会社の利益に大きく貢献できることもあり、やりがいを感じやすいといえます。

予算や手法に自由度が高いケースも多いので、自分の知識やスキルを活かしやすいことも魅力のひとつです。

試行錯誤をすることで改善につなげる

自分で主体的に考え試行錯誤繰り返すことで改善につなげることからも、働きがいを見出しやすいと考えられます。

会社への貢献度を実感できることも魅力といえるでしょう。

ポジションの確立・収入アップが狙いやすい

グロースハッカーは新しい仕事なので、伸びしろが大きいことが特徴です。

自分の努力次第でポジションを確立したり収入アップにつなげたりしやすいポジションといえます。

副業として始めることも可能で、将来的には起業も考えられるでしょう。

グロースハッカーの成功事例


グロースハッカーの活躍で企業が成長した事例を3つ紹介します。

【ユーザー視点で使いやすさを追及】IKEAでの事例

スウェーデンの家具メーカー「IKEA」では、グロースハッカーにより、ECにおけるクロスセリング戦略を実施。

2017年にAppleとの共同開発で、ARアプリとして「IKEA Place app」を開発し、購入を検討中の家具をスマホ上で自分の部屋に3Dで反映できるようにしました。

ユーザー視点で使いやすさを追及することで、ユーザーはIKEA家具のナレッジに容易にアクセス可能になりました。

その後も大幅なアップデート版をローンチし、複数家具の同時配置提案や部屋全体のコーディネート機能が追加されています。

また、IKEAのクロスセリング戦略として、顧客のライフスタイルを快適にすることを起点としてリテンション率を高めた結果、長期的な企業収益につなげています。

【解約させないための仕組みを構築】Huluでの事例

日本でサービス開始した2011年当初、Huluでは会員数が思うように伸びませんでした。

そこで、Huluのグロースハッカー担当者がシンプルかつ複雑な仕組みを構築することで、Huluの課金ユーザーの増加に成功。

具体的な施策としては、「サービス開始までをシンプルに」かつ「サービス終了を複雑に」といったものです。

購入に至るまでのステップを最小限にすると同時に、解約希望者へのサポートを最大まで手厚くしました。

このようなグロースハックによってHuluは成長することとなり、4年間で約100万件の新規ユーザーの獲得に至りました。

【広告費ゼロで1億人のユーザーを獲得】Dropboxでの事例

Dropboxでは、友人への紹介で追加容量を獲得できる仕組みを構築することで、広告費をかけることなくサービス拡大につなげました。

追加容量を獲得するために、ユーザー自身がサービスを拡散するような構図を作ったのです。

グロースハッカーの担当者はまずDropboxについて徹底的な調査を行い、新規ユーザーの3人に1人が、既存ユーザーの紹介によりDropboxを使い始めていることが明らかにしました。

調査結果をふまえて、ユーザーが自動的に拡散してユーザーを獲得する仕組みを作り、広告費ゼロで、わずか5年で約1億人のユーザーを獲得するに至りました。

グロースハッカーでおすすめの企業

グロースハッカーはまだまだ新しい仕事といえますが、すでにグロースハックを事業戦略の一環として取り入れている企業もあります。

ここでは、グロースハッカーが活躍できる企業を取り上げます。

株式会社Kaizen Platform


「世界をKAIZENする」ことを理念として掲げる株式会社Kaizen Platformは、DXやUXのソリューションを提供する企業。

2013年に創業してから約10年で、さまざまな大手企業と資本提携を行い、資本金は7億にのぼるほどです。

同社の「KAIZEN TEAM」では、グロースハッカーを企業にアサインする事業を展開しています。

グロースハッカーたちが、多くの企業でビジネスにおける課題の抽出と改善に携わっています。

あらゆる人にグロースハッカーとして活躍できる企業を目指していることからも、グロースハッカーとしてキャリアを積むのに最適な企業と言えるでしょう。

株式会社LeanGo


株式会社Leangoは、CVRの改善に関する提案資料をクライアントに提供する事業を行う企業です。

URLを入れるだけで改善点が表示され、エンジニアでなくてもノーコードで改善できるツールは多くのユーザーに使用されています。

グロースハックにより、コンバージョン率を高め、ミッションを達成するためのサポートを行っています。

今後もツールのアップデートやバージョンアップも期待できることからも、WEBエンジニアよりのグロースハッカーとして活躍ができるでしょう。

株式会社EXIDEA


EXIDEAもグロースハッカーが集まり、SEOコンテンツマーケティングSaasの「EmmaTools」を開発し提供している企業です。

複数のWEBメディアやプラットフォームの運営、動画マーケティング事業などにも携わり、一貫したデジタルマーケティングのサポートを実施しています。

大企業のクライアントが多いため、より大きな場で活躍したい人におすすめの企業です。

まとめ

広告やプロモーションなどあらゆるものがWEBに移行するなか、グロースハッカーという仕事は今後さらなる飛躍が期待されます。

求められる知識やスキルは多岐にわたりますが、その分、裁量権が大きく自ら試行錯誤して改善に取り組めることや、ポジションが確立しやすいことが魅力でしょう。

日本においてはまだ発展途上の分野なので、努力次第で収入アップも期待できます。

スキルの活かし方も自由なので、自ら改善策を講じて企業の成長に貢献したい方は、グロースハッカーという働き方を視野に入れてはいかがでしょうか。

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