AIエンジニアになるには?キャリアパスや必須スキルを詳しく解説

AIの実用化が加速する今、かなり広範囲で労働の無人化が生じると言われています。
その中で需要が急上昇しているAIエンジニア。
しかし、いざ他業種からAIエンジニアを目指す場合、AI分野の専門的な知識やスキルについて心配している転職希望者は多いことでしょう。
『就活に向けてすべき準備は何か?どのようなキャリアパスが有利になるのか?』と気になる方も多いはず。
今回は、AIエンジニアへの転職を成功させるキャリアパスや事前の知識・スキル、AIエンジニアとしてのキャリアアップの方法などを詳しく解説します。
AIエンジニアとは
AIエンジニアは人の活動全般に役立つ自動化システムを構築する職種。
そのためAIエンジニアは今、より豊かで利便性の高い社会を築き上げる先端人材として注目されています。
あらゆるビジネスシーンのAI実用化において、専門エンジニアのニーズが拡大しており、エンジニア職の中でもとりわけ人材不足が顕著とされています。
AIエンジニアの仕事内容
AIエンジニアの分野は、主に次の2つにわかれます。
- 機械学習の分野
- アナリティクス分野
一般的にAIエンジニアの主な仕事は機械学習と深層学習で、AIアルゴリズムの開発やAIを活用したアプリケーション・サービスの開発・実装を手掛けます。
なお、AIエンジニアにはデータアナリスト・データサイエンティストを兼任するケースがあり、AI技術を利用したデータ解析や予測モデルの構築なども行います。
機械学習の分野
21世紀が始まるとインターネット媒体を活用したコンピュータ技術が進歩し、その結果人類に大きな貢献をもたらすグーグル検索エンジンや顔認証・音声認証のシステムが開発されました。
これらはAIエンジニアの活躍によるところで、このプログラミング分野を担うのが機械学習系AIエンジニアです。
なお、AIエンジニアは以下のような仕事を行います。
- AIアルゴリズムの開発・実装
- AI活用のアプリケーション・サービスの設計・開発
- 音声/画像認識・自然言語処理システムの構築
- 機械学習データの収集・整形
機械学習では、コンピュータに膨大なデータを読み込ませ、プログラミングしたアルゴリズムに基づいて自動データ分析を実行させます。
それによってビッグデータの高速分析が可能となり、人間には導き出せない法則が算出できるので、より精度の高い認識や予測を可能とします。
なお、AIエンジニアはディープラーニングの開発・実装も手掛けます。
ディープラーニングとは、コンピュータに自動学習のシステムを設定することで、エンジニアが指示せずとも目的に応じたデータ収拾・分析を実行し、人間では把握できないことまでを読み取って判断するもの。
AIをより活用できるようにすることもAIエンジニアの仕事となります。
アナリティクス分野
アナリティクス系のAIエンジニアは、AIソリューションの開発とビジネス上の問題の解決を担当します。
AI活用によるデータ分析結果をもとに、商品・サービスの品質アップのためのシステム構築を行います。
アナリティクス系のAIエンジニアが活躍する職場として、WEBメディアの運営企業やアドテクノロジー企業などが挙げられます。
なお、こちらのAIエンジニアは大きく2分野に分かれています。
- データアナリスト系
- データサイエンティスト系
それぞれの主な仕事は以下の通りです。
データアナリスト系AIエンジニア | データサイエンティスト系AIエンジニア |
---|---|
・AI活用によるデータ収集・整備環境の構築 ・AIの機械学習による仮説検証およびツールの開発 |
・経営課題の把握のためのAIデータ解析の構築とマーケティング戦略への提案 ・特徴量エンジニアリング、モデルの構築 ・データ分析をもととするコンサルタント業務 |
AIエンジニアになるために必要なスキル・知識
AIエンジニアとしての基本知識・スキルは次の5つ。
- データベース(SQL言語など)の知識
- 機械学習やディープラーニングの基礎知識
- クラウドサービスの知識
- 数学的知識
- 論理的思考力
AIエンジニアを目指す方は、まず概略的な専門知識を把握するようにおすすめします。
プログラミングの基礎知識については、なるべく早めに学習しておくと良いでしょう。
『データベースとは?プログラミングライブラリの概要は?』などを事前に学習してみることができます。
特にTensorFlow、PyTorch、KerasなどのAI系フレームワーク、SQL(リレーショナルデータベースの構造化問い合わせ言語)やAI開発に必須のPython(プログラミング言語)でコーディングができるようにしておくと転職に有利かもしれません。
また、インフラ(IaaS)のスキルやインフラ整備のためのクラウド知識も実践で必要になります。
その上で、線形代数、統計、微分積分、行列暗算などの数学的知識やデータ収拾や分析における論理的思考力アップも意識してみてください。
データアナリスト系とデータサイエンティスト系では必要な知識やスキルが異なります。
データアナリスト系AIエンジニア | データサイエンティスト系AIエンジニア |
---|---|
・PythonやR言語などのコーディングスキル ・概念実証モデル運用の経験 ・パブリッククラウドの活用経験 |
・データ分析・レポーティングのスキル ・効果検証、およびそのデザイン思考力 |
AIエンジニアへの転職に役立つ資格
AIエンジニアの転職に向けて、取得をおすすめしたい資格は次の7つです。
- G検定
- E資格
- Python3エンジニア認定データ分析試験
- 画像処理エンジニア検定
- データベーススペシャリスト試験
- AI実装検定
- 統計検定
AIエンジニアを目指すのであれば、Python3エンジニア認定データ分析試験がこの中ではおすすめの資格です。
PythonはAI開発において非常に重要なプログラミング言語であり、データ分析もAI開発において不可欠でしょう。
また、画像処理エンジニア検定やデータベーススペシャリスト試験もAI開発において重要なスキルを証明できるため、一通り学んでおくとスムーズに業務にあたれるでしょう。
AIエンジニアのキャリアパス
では、AIエンジニアはどのようなキャリアパスを描けば成功の確率が高まるでしょうか。
その点について、AIエンジニアになるまでとAIエンジニアになってからのキャリアパスに分けて紹介しましょう。
あくまでも一例ではありますが、ぜひ参考になさってください。
AIエンジニアへ転職するまでのキャリアパス
AIエンジニアの職は近年に始まったもので、AIに対する知識やスキルに富んだ人材は少ないと言えるかもしれません。
その点から、AIエンジニアへの転職を成功させている方には次のようなパターンが見られます。
- IT業界で働いている人
- 特にIT系のエンジニア出身者
ただし、AI技術が普及し始めたことで、AIに対する理解や予備知識をもつ未経験者の方の転職も始まっております。
人材不足が顕著な業界ですから、幅広い分野からの転職が見られるようになりました。
IT業界・エンジニア経験者のキャリアパス
IT業界・エンジニア経験者の場合、既に職務経験で培ったIT知識をベースにキャリアパスを描くことができるでしょう。
- AI知識の全体把握のための学習を進める
- AIエンジニアの分野を絞り込む(機械学習系orアナリティクス系)
- それぞれに関係する資格を習得する
- 希望するAI企業を選定し、転職する
未経験者のキャリアパス
IT業界やエンジニア業の未経験者は、次のキャリアパスが描けるかもしれません。
- IT系の職場へ転職し、ITエンジニア職へキャリアップする(プログラマーやバックエンドエンジニアなどの経験を積む)
- AI知識の全体把握のための学習を進める
- これ以降は経験者と同じキャリアパスを辿る
あるいは、次のようなキャリアパスも可能です。
- AIエンジニアの専門学校で学ぶ
- これ以降は経験者と同じキャリアパスを辿る
AIエンジニアになってからのキャリアパス
AIエンジニアのキャリアアップには、主に次の3つがあります。
- AI・機械学習コンサルタントやデータに強みを持った経営コンサルタント
- AI開発に特化したシニアエンジニア
- フルスタックエンジニア
AI・機械学習コンサルタントやデータに強みを持った経営コンサルタント
データアナリスト系のAIエンジニアは、データに強みを持つ経営コンサルタントへのキャリアパスが描けます。
ビッグデータを活用するビジネス戦略では、刻々と変化する消費者ニーズを素早く的確にとらえるため、AIによるデータ分析とデータ活用の方法が重要視されます。
経営者や上級管理職に対して、ビジネス戦略のサポートを行うことができるでしょう。
AI開発に特化したシニアエンジニア・マネージャー
ビジネス戦略として実践するAIプロジェクトでは、そのリーダーやマネージャーとしてプロジェクトの成功に貢献するAI開発に特化したシニアエンジニア・マネージャーが欠かせません。
AIの技術に長けたエンジニアが適任で、開発の最前線に立ちながら、顧客ニーズを捉えたビジネス展開に貢献できることでしょう。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとはフロントエンド・バックエンド・データベースをはじめとする、あらゆるAI分野に精通するエンジニアのこと。
あらゆるAI技術を活用して、最先端のAIシステム開発に貢献することができます。
AIエンジニアの魅力
近年において、にわかにAIエンジニアが注目を集めはじめました。
その魅力は何なのか、AIエンジニアになるメリットをここで確認しておきましょう。
AIエンジニアはやりがいのある職業
AIエンジニアの魅力のひとつは、仕事へのヤリガイです。
具体的なヤリガイとしては、主に次の4つを挙げることができます。
- 最先端のAI技術に携われる
- 成長が著しく、収入アップの期待が大きい
- さまざまな作業の無人化を実現することで社会貢献ができる
- 今後もAIエンジニアの需要が増えていく
AIエンジニアの年収は高めの相場
AIエンジニアになると、一般的に高収入が得られます。
AIエンジニアは国民の平均年収を超えるケースがほとんど。
ちなみに年収相場は以下の通りです。
- 機械学習AIエンジニア:600〜1,000万円
- アナリティクス系AIエンジニア:300〜1,200万円
アナリティクス系AIは年収の幅が低いですが、担当業務によっても変わるようです。
例えば、データ解析寄りの仕事の場合では低めの年収もみられますが、データ分析を通して、課題解決のための施策の立案まで行えば高年収が得られるでしょう。
AIエンジニアの将来性は高い
AI開発の需要は今後も勢いを増して増加すると見込まれています。
その理由としては、主に次の3つがあります。
- どの業界でも無人コミュニケーションツールや自動作業ロボットの施策を進めている
- 労働人口の減少対策として、どの企業も労働力削減のAIシステム構築に積極的
- AIエンジニアは特に人材不足が顕著(プロ育成に時間がかかり早急な確保が困難)
AIエンジニアの成功事例
AIエンジニアとして成功した事例を2つご紹介します。
メルカリ:AIによる超簡単な出品システム
フリマアプリで有名なメルカリ。
メルカリの出品システムがユーザーに大好評となっています。
メルカリはフリマアプリに画像認識機能を導入し、ユーザーが商品の写真をアップロードすると、その商品の記載情報が自動で表記されるサービスを始めました。
なお、商品ジャンルによっては、商品紹介のみならず売れ筋の金額まで自動入力されるので、出品手続きが簡単になったとの話です。
フリマアプリはメルカリ以外にもたくさんありますが、出品のしやすさがあることで、メルカリでも出品者が増え、その結果多彩な商品が売買されることに結び付いた好例といえるでしょう。
Intelligence Design:AIの画像認識システムで通行量を素早くカウント
Intelligence Designの交通量調査を自動化する「IDEA counter」は、エリアの通行人カウントを無人化しました。
以前なら人が椅子に座り、手にカウントする道具をもって数人で行っておりました。
人件費がかかるだけでなく、計測する人によってカウント数に差が出てしまう問題もありました。
このシステムは画像認識技術を活用し、システムが設置できる場所であればどこでも長時間の調査が可能で、数え間違いを回避できるメリットがあります。
ちなみに、このシステムは緊急事態宣言の時の人流をチェックするために活用されたとのことです。
緊急事態宣言だけでなく、例えば、店舗ごとに来客数を計り、より効果的なマーケティング対策を立案することにも役立てられるのがこのシステム。
今後の活用方法にも期待できるでしょう。
AIエンジニアでおすすめの企業3選
最後に、AIエンジニアが活躍している会社を3つ紹介します。
会社の特徴や実績など注目ポイントを解説しますので、転職先の候補を選ぶ際の参考にしてください。
エルピクセル株式会社
東京に本社を構えるエルピクセル株式会社は、ライフサイエンス(遺伝子やゲノム研究の生命科学)と画像解析に特化した独自のAIシステムを研究開発しています。
主なプロダクトは2つ。
- 次世代医療診断ツールとしてのAI画像診断支援技術EIRL(エイル)
- 創薬を加速するAIシステム(クラウド型の画像解析プラットフォーム)IMACEL
「能動学習型の生物医学画像自動分類ソフトウェア」をはじめとする豊富な特許取得。
小児周産期のすべての病気を対処する国立成育医療研究センターとの共同研究、経済産業省の国家プロジェクトへの参画するなど将来性の高いAI系企業です。
主な事業内容は研究及び研究者支援事業、インターネット関連事業、 医療機器の開発製造及び販売などです。
株式会社ブレインパッド
東京の六本木に本社を構える株式会社ブレインパッドは、データ活用で企業力を向上させるAI活用支援で高い実績を収めています。
主なプロダクトは4つ。
- AIデータ解析で高精度のパーソナライズを実現する総合ソリューション・Rtoaster
- LINEコミュニケーションを自動化するマーケティングオートメーション・Ligla
- BtoC向け マーケティングオートメーションプラットフォーム・Probance
- ヒト・モノを複合的にマッチングするAIマッチングエンジン・Conomi
1000社以上ものAI活用支援を手掛ける株式会社ブレインパッド。
AI活用による需要予測や発注管理の最適化、異常検知、レコメンドソリューションなどを得意とするAIエンジニアのプロ集団です。
特にアナリスト系AIエンジニアの活躍が目覚ましく、データアナリストやデータサイエンティストへのキャリアパスを望む方におすすめです。
エクスウェア株式会社
東京の港区に本社を構えるエクスウェア株式会社は、創業から一貫してシステム開発にこだわるAI系企業です。
顔認証ソリューションやロボティクス事業に力を入れていて、機械学習・ディープラーニング系のAIエンジニアに人気があります。
主なプロダクトは3つ。
- 顔認証を活用した低価格なテレワーク支援ツール・カオミル リモートワーク
- AI型とシナリオ型チャットボットのハイブリッド型チャットボット・TalkQA
- iPadとWi-Fi接続、Pepperが接客やプレゼンするクラウドサービス・ペップレ
エクスウェア株式会社は、実に多彩な事業を展開するAI業界のマルチプレーヤーです。
AIで実現できる便利ツールの開発・リリースに実績が高く、AIチャットボット・コールセンターAI・AI人事支援・AIマーケティング・AI型IoTデータ分析・AI搭載ロボット・AIヘルスケアと広範囲に活躍しています。
まとめ
作業の自動化・無人化が始まった現代において、AIエンジニアの仕事は反比例的に増加するとされています。
AIエンジニアの将来性はもちろん、仕事の面白さ・社会貢献度・高収入と魅力多き職業といえるでしょう。
専門性が極めて高い分野ではありますが、今からできる準備を進め、明確なキャリアパスをもって転職に臨むようおすすめします。