クラウドエンジニアのキャリアパスは?成功事例やおすすめ企業も紹介
クラウドエンジニアとは、クラウドサービスを活用してシステムの構築や保守を行う職種です。
クラウドサービスやミドルウェアなどの知識が求められ、経験を積めばクライアントのクラウド環境をマネジメントする仕事に就ける可能性があります。
本コラムでは、クラウドエンジニアになるまでに就いておくと役立つ職種や、クラウドエンジニアの経験が活かせる職種など、キャリアパスについて解説します。
クラウドエンジニアとは
ここでは、クラウドエンジニアについて、どのような仕事内容であるか、どのようなスキルや資格が必要なのかなどをご紹介します。
クラウドエンジニアの仕事内容
クラウドエンジニアの仕事内容は、主に2つ挙げられます。
- クラウドサービスを利用したシステムの構築や保守
- クライアントに最適なクラウドサービスを提案
詳しくみてみましょう。
クラウドサービスを利用したシステムの構築や保守を行う
クラウドエンジニアの主な業務は、クライアントからの依頼を受け、クラウドサービスを利用したシステムを構築・保守することです。
場合によっては、システムの設計書を作成する段階から携わるケースがあり、拡張性を考慮した設計が重要となるでしょう。
設計書をもとに、クラウドサービスを使ってシステムの構築作業を行います。
構築作業後は、負荷テストを行い問題なく動作するかを確認するのもクラウドエンジニアの仕事のひとつです。
構築したシステムは、常に動作に問題がないか保守・監視し、問題が発生すればその都度対応・原因解明・分析などを行います。
クライアントに最適なクラウドサービスを提案
クラウドエンジニアは、クライアントが導入するクラウドサービスを数あるものから最適なものを選んで提案する業務も行っています。
近年では、既存ビジネスのクラウド化を検討する企業が増えていることから、クラウドエンジニアによるサポートが欠かせないといえるでしょう。
ただし、クラウドサービスを提案するだけでなく、人的作業の負担軽減やコストの最適化など、クライアントがサービスを導入する目的を汲み取ることが大切です。
クラウドエンジニアに必要なスキル
クラウドエンジニアになるために必要なスキルは、主に4つ挙げられます。
- ミドルウェアの知識やクラウドサービスへの理解
- 論理的思考
- 企画提案力
- コミュニケーションスキル
詳しく解説するので、確認してみましょう。
ミドルウェアの知識やクラウドサービスへの理解が必要
クラウドエンジニアは、WEBサーバーやアプリケーションサーバー、データベースなどのミドルウェアの知識を身につける必要があります。
ミドルウェアは、OSやアプリケーションでは対応できない複雑な処理を行い、リクエストに対してコンテンツを表示するときや、プログラムを実行するときに必要です。
また、クラウドサービスを利用したり、最適なサービスを提案したりするので、クラウドサービスへの理解も重要です。
代表的なクラウドサービスには、AWSやAzure、GCPなどがあります。
各クラウドサービスの特徴を押さえておくことで、システムを構築するときやサービスを提案するときに、適材適所でクラウドサービスを利用できるようになるでしょう。
論理的思考
クラウドエンジニアになると、業務を円滑に進めるために最低限の論理的思考が必要です。
たとえば、システムを構築する際、クライアントから要望を聞き取り、納期までにシステムを仕上げる必要があります。
ヒアリングから納期まで適切なスケジュールを確定させるためにも、論理的思考を身につけておくとよいでしょう。
企画提案力
システム構築や保守、クラウドサービスの提案の際に、クライアントにどのようなシステムを構築するのか、なぜこのサービスがおすすめなのか、などを説明する必要があります。
企画提案力や説明能力などがあれば、クライアントに納得してもらえたり、クライアントとの間で認識に違いが生じるのを防げたりする可能性が高まります。
また、企画提案力と合わせて、資料を作成したりプレゼンしたりスキルもあれば、資料を作成してよりわかりやすく説明することができるでしょう。
口頭と合わせて資料や図解などを用意すると、双方の認識のズレを減らすことができ、クラウドエンジニアとしての信頼度の向上にもつながります。
コミュニケーションスキル
クライアントをはじめ、社内の関係者とコミュニケーションを取りながら、業務を進めていく必要があります。
クラアントや関係者とのやり取りを怠ると、双方の認識のずれが生じたり、構築したシステムが要望を満たしていなかったりする恐れがあるでしょう。
また、よりよいサービスを提供するために、さまざまな方々とコミュニケーションを取って、意見を取り入れることも大切です。
クラウドエンジニアに必要な資格は?
クラウドエンジニアになる際、取得必須となる資格はありませんが、転職に有利になる資格があります。
クラウドエンジニアになるときに取っておくとよい資格は、主に7つです。
AWS認定資格
AWS認定資格は、AWSの知識やスキルを証明する資格です。
AWSは、代表的なクラウドサービスとして知られており、クラウドサービスを扱うIT企業のなかにはAWSを活用するところもあります。
AWS認定資格を取得すれば、AWSを扱う企業に十分アピールできるでしょう。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、IT業界で働くために必要な知識やスキルを証明するための資格。
経済産業省が認定する資格であり、国家資格として知名度も高いです。
情報処理技術者試験を取得するには、ネットワークやセキュリティなどの幅広い知識を身につける必要があります。
Microsoft Azure認定試験
Microsoft Azure認定試験は、代表的なクラウドサービスであるMicrosoft Azureの知識やスキルの習得を証明する資格です。
Microsoft Azureは、AWSと同じくシェア・認知度が高く、Microsoft社が認定している資格として高い信頼性があります。
Microsoft社は、Microsoft Learnという学習システムを提供しているので、資格取得のために勉強する際にコストがかからない点が魅力です。
Google Cloud 認定資格
Google Cloud 認定資格は、Google Cloud Platformの知識やスキルを証明する資格です。
Google Cloud Platformは、AWSやMicrosoft Azureと並ぶほど、代表的なクラウドサービスとして知られています。
また、公式サイトでは、模擬試験やトレーニングを受けることができるので、Google Cloud 認定資格に挑戦する前に利用してみるとよいでしょう。
CCSP認定試験
CCSP認定試験は、安全にクラウドサービスを利用するために取得する資格です。
CCSP認定試験を取得するには、クラウドサービスのセキュリティに関する知識やスキルを身につける必要があります。
ただし、実務経験が5年以上という条件を満たさなくてはいけないので、初心者ではなく、クラウドエンジニアとしてさらなるスキルアップを目指す方におすすめです。
CompTIA認定資格
CompTIA認定資格は、クラウドエンジニアとして総合的な知識やスキルを身につけていることを証明する資格です。
特定のクラウドサービスに限定されず、幅広いサービスを活用する際に役立つ国際資格であるため、クラウドエンジニアとして業務の幅を広げたい場合に適しています。
Linux技術者認定試験
Linux技術者認定試験は、OSのひとつであるLinuxに関する知識やスキルを習得していることを証明する資格です。
Linuxは、仮想サーバーを構築する際に用いられるケースが多く、システム構築や保守に携わりたい場合に適しています。
クラウドエンジニアのキャリアパス
ここでは、クラウドエンジニアのキャリアパスについて、なるまでに就いておくといい職種や、目指せる職種をご紹介します。
クラウドエンジニアになるまでのキャリアパス
クラウドエンジニアになる前に、以下の職種を経験しておくと転職で有利になるでしょう。
WEBエンジニア
WEBエンジニアは、モバイルサイトやアプリケーション、WEBサイトなどを設計したり運用したりする職種です。
WEBエンジニアも、クラウドサービスを使ってシステムを設計・運用・保守するケースがあるので、クラウドエンジニアに転職後も活かすことができます。
特に、さまざまなクラウドサービスがあるなかで、AWSを利用してシステムを設計する場合が多く見られます。
WEBエンジニアとしてAWSに関する知識やスキルが身につけられていれば、AWSに対応している企業に十分にアピールできるでしょう。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーやネットワークなどのITインフラを扱うエンジニアです。
クラウドもITオンフラを構成する要素のひとつであり、クラウドエンジニアとしての経験をそのままクラウドエンジニアの業務に活かすことができます。
また、インフラエンジニアは、クラウドだけではなく、物理的な機器を扱うことが多いので、オンプレミスとクラウドの違いやそれぞれの特徴を理解しているといえます。
プログラマー
プログラマーは、システム開発の工程のプログラミングをメインとする職種です。
プログラミング言語を扱える人材は、IT人材が不足している現代で重宝されており、クラウドエンジニアの業務にプラスアルファとしてプログラミング業務を組み込むことができます。
また、プログラミング言語の種類はさまざまであり、企業によって扱っているものが異なります。
プログラマーからクラウドエンジニアになる場合は、扱えるプログラミング言語に対応している企業を選ぶことがおすすめです。
クラウドエンジニアから目指せる職種
クラウドエンジニアになるとITに関する知識やスキルが身につくので、今後のキャリアパスで重要な要素となります。
クラウドエンジニアから目指せる職種は、主に4つ挙げられます。
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャー
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーは、システムを受注して納品・運用・保守までの全体を管理する職種です。
クラウドに関する知識やスキルはもちろん、コミュニケーション能力やよりよい意見を導き出す提案力など、さまざまな能力が求められます。
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへのキャリアパスでは、経験を十分に積んでスキルアップしながら、立場を上げていくケースが一般的です。
クラウドコンサルタント
クラウドコンサルタントは、外部企業であるクライアントや社内で課長・部長などに、最適なクラウド管理を提案する職種です。
クラウドコンサルタントへのキャリアパスでは、クラウドに関する知識やスキルをしっかり身につけて、臨機応変に対応できる能力が求められます。
数あるクラウドサービスから最適なものを提案できるように、王道なサービスだけではなく、さまざまな種類のクラウドサービスの存在を知ることが大切です。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアは、アプリケーション開発において、プログラミングスキルやネットワークエンジニア、インフラエンジニアなど、さまざまなスキルを持った職種です。
オンプレミスからクラウドに移行する業務などを担当するケースがあり、クラウドだけではなく、オンプレミスについての知識も求められます。
フルスタックエンジニアへのキャリアパスでは、ネットワークやインフラに関する知識やスキルを身につけておくと転職で有利になります。
インフラエンジニア・クラウドエンジニア・フルスタックエンジニアの順でのキャリアパスがイメージしやすいでしょう。
DEVOPSエンジニア
DevOpsエンジニアは、ソフトウェアの開発や運用を効率的に実現する職種です。
ソフトウェアの開発では、インフラの開発や整備に携わるケースがあるので、クラウドエンジニアとしての経験を活かせるでしょう。
クラウドエンジニアからのキャリアパスでは、クラウドに関する知識やスキルに加え、より詳しい知識を身につけなければいけません。
クラウドエンジニアの魅力
ここでは、クラウドエンジニアの魅力を5つご紹介します。
今後も高い需要が見込める
近年、IT人材が不足していることが話題になっており、クラウドエンジニアを求めている企業が多くあります。
また、オンプレミスからクラウドへの移行を検討する企業が増えており、大学や政府機関などで扱うシステムのクラウド化も進んでいるのも事実です。
クラウド化することで、物理的な機器の管理にかける手間を削減でき、結果的にコスト削減につながるケースも見られます。
このように、クラウド化することでさまざまなメリットがあることから、今後もクラウドエンジニアの需要が高くなると考えられるでしょう。
最先端技術に触れられる
クラウドエンジニアになると、クラウド技術が進化するたびに、最新技術に関する知識を身につける必要があります。
そのため、常に最先端技術に触れられるメリットがあり、この経験は今後のキャリアパスでも役立つと考えられます。
また、身につけた最先端技術に関する知識やスキルを業務で活かすことで、楽しさややりがいにもつながるでしょう。
取得した資格やスキルを活かせる
クラウドエンジニアで取得した資格やスキルは、IT業界へのキャリアパスで十分に活かせる可能性があります。
クラウドエンジニアからのキャリアパスでは、経験したことを資格で証明できれば、企業に対してアピールポイントとなるでしょう。
また、日々進化していくクラウド技術ですが、根本的な部分は変化せずに進化していくといわれており、基礎的な知識やスキルでも十分にIT業界で活躍できる可能性があります。
実際に、クラウドエンジニアとして活躍している方のなかには、若い方をはじめシニアの方もおり、定年までエンジニア業に携わる方が多いです。
ライフスタイルにおける柔軟性が高い
クラウドエンジニアを雇用している企業は、出社を強要せずに、自宅でのテレワークに対応しているところが多く見られます。
活躍している方のなかには、子育てや家事を行いながら、仕事を両立している方もいます。
また、世界共通の職種であるため、海外で生活しながらクラウドエンジニアを続けているケースもあるようです。
企業に勤めずにフリーランスとして活躍している方もおり、ライフスタイルの選択肢が増えるといえます。
今後IT業界での就職の幅が広がる
クラウドエンジニアとしてスキルアップするには、クラウドに関する知識やスキルだけではなく、コミュニケーション能力や論理的思考、企画提案力などが求められます。
さまざまなスキルを身につけられるので、今後のキャリアパスにおいてIT業界での転職の幅が広がる点が魅力です。
実務経験が積めるので、経験者を優先して採用している企業に転職したい場合に有利となるでしょう。
クラウドエンジニアの成功事例
クラウドエンジニアの成功事例を2つご紹介します。
クラウドエンジニアとしての活躍を見てみましょう。
フルリモートワークの働き方を実現した須郷さん
クラウドエンジニアとして働いてから、自分で作業時間やタスクを管理するようになり、フルリモートワークを実現できた事例があります。
株式会社ヘプタゴンでクラウドエンジニアとして活躍する須郷さん。
通勤時間を削減できたり、会社にとらわれない自由な働き方ができたりと、さまざまなメリットを実感しているようです。
数か月に1回のペースで定期的に会社のメンバーと顔を合わせることで、あらためてつながりを感じられ、各自フルリモートワークで業務を進めるうえで刺激となるでしょう。
現在は、Web アプリケーション開発やサービス間連携システムの構築など、クライアントのビジネスを裏側から支える業務に従事。
前職場ではアプリケーションの開発を担っていましたが、経験を生かした仕事ができていると見受けられます。
具体的には、費用や工数を抑えながら、クライアントkintone上で構築した業務アプリケーションと、自社独自のアプリケーションを組み合わせるシステムの開発で活躍した実績があります。
仕事の楽しさややりがいが向上したS.Hさん
クラウドエンジニアになった方のなかには、現場からの評価が直接給与に反映されるようになり、仕事のやりがいにつながったという事例がありました。
HALでクラウドエンジニアとして活躍するS.Hさん。
やりたいことを後押ししてくれる会社環境に恵まれ、チャレンジ精神の向上や仕事に対する楽しさを感じているようです。
HALに入社する際も、AWSを使ってみたいという想いがあり、独学でAWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナルの資格を取得した経験があります。
現在は、CI/CDを⽤いてインフラ環境を⾃動的にアプリケーションエンジニアの⽅に提供できる仕組みをつくったり、その仕組みを利用する際のサポートを行ったりしています。
入社時に希望していたAWSを使ってみたいという想いを叶え、AWSを使ったクラウド構築でも結果を残しているクラウドエンジニアです。
クラウドエンジニアでおすすめの企業
ここでは、クラウドエンジニアを募集しているおすすめの企業を3選ご紹介します。
野村総合研究所
野村総合研究所は、日本初の本格的な民間総合シンクタンクである株式会社野村総合研究所と、システム開発会社である野村コンピュータシステム株式会社が合併して誕生した企業です。
「顧客の信頼を得て、顧客と共に栄える」「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」を理念に創業し、リサーチやコンサルティング、ITソリューション、システム運用などをサポートしています。
クラウドエンジニアの採用では、思考や価値観などが会社に合致しているか、一定レベルのコミュニケーション能力があるか、などのポイントが重視されます。
また、新入社員研修や海外への社費留学生制度、語学研修、インストラクター制度、人材開発講座、資格取得支援など、スキルアップのためにさまざまな制度を設けている点が魅力です。
シンプレクス・ホールディングス
シンプレクス・ホールディングスは、クラウドなどの最先端技術に立脚した戦略・DXコンサルティング、システム開発・運用・保守などを提供している企業です。
「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」を理念としており、自社開発したシステムをSAAS型サービスとして、さまざまなクライアントに対して提供している実績もあります。
また、社内にはカウンセリングルームやマッサージルーム、カフェテリアなどが設けられており、社内でもリラックスして業務に専念できるような環境づくりに力を入れていることがわかるでしょう。
クラウドエンジニアはメンバー同士のコミュニケーションが大切であり、カウンセリングルームやカフェテリアなどの場所を活用すれば、リラックスした空間での話し合いができ、より深い交流を図ることができます。
電通国際情報サービス
電通国際情報サービスは、価値の創出と顧客体験の向上の観点から、クライアントに合った最適なソリューションを提供している企業。
コンセプトは、「課題調査・提言からテクノロジーによる解決への流れを循環させ、システムインテグレーターの枠組みを超えて、社会の進化を実装する」です。
同社のクラウドエンジニアの求人情報では、製造業エンジニアリング領域やHCM関連などに特化した部門、金融とITを融合した部門、チームリーダーなどさまざまな業務内容に分かれていました。
リーダーといっても、チームをまとめるリーダーや技術面でサポートするリーダーなどがあるので、スキル次第で自分の得意分野でリーダーに上がれる可能性が高い点がおすすめです。
まとめ
クラウドエンジニアは、IT人材が不足している現代で需要が高く、今後もIT業界での需要が高まると考えられます。
日々進化するクラウド技術を身近で触れられる職種なので、最先端技術に触れられる機会が増え、その経験は今後のキャリアパスで活かされるでしょう。
また、完全在宅で完結するケースが多いので、フルリモートワークを実現したり、ライフスタイルの選択肢を増やしたりしたい場合におすすめです。
WEB業界でクラウドエンジニとして活躍したいと考えている方は挑戦してみてはいかがでしょうか。